転倒リスクを減らすには?介護のプロが教える安全な暮らしの工夫
介護現場で最も多いトラブル──「転倒」を防ぐには
介護に携わっていると、よく耳にするのが「転倒」。
一度の転倒が骨折につながり、そこから寝たきりになってしまうケースも少なくありません。
私が以前に担当したご利用者さんも、「ちょっとした段差」で転んだことがきっかけで入院されました。
「注意してたのに、なんで…?」と思うほど、転倒は誰にでも起こり得ます。
そこで今回は、**介護の現場や家庭でできる“転倒リスクを減らす工夫”**を、実体験を交えながら紹介します。
転倒の主な原因を知ることが第一歩
転倒は、ひとつの原因だけで起きるものではありません。
多くの場合、身体・環境・心理の3つの要因が重なって発生します。
身体的な原因
- 筋力の低下(特に太もも・足首まわり)
- バランス感覚の衰え
- 視力の低下や白内障などによる視野の狭まり
私が関わった高齢者の方も、歩行には問題なかったのに、足の上げ幅が少しずつ狭くなっていたことが転倒のきっかけでした。
環境的な原因
- 段差や滑りやすい床
- 照明が暗く足元が見えにくい
- 電気コードやカーペットのめくれ
実際、家庭訪問をすると「この小さな段差が意外と危険だった」と気づくことが多いです。
心理的な原因
- 「また転ぶかも…」という不安や恐怖
- 焦りや油断による注意力の低下
転倒経験がある方は、動くことへの怖さから体を固めてしまい、かえってバランスを崩しやすくなります。
今日からできる!転倒予防の具体的な対策
① 住環境を整える──転ばない「空間」をつくる
- 段差にはスロープや手すりを設置
- 滑りやすい床にはノンスリップマットを使用
- 電気コードはまとめて壁際へ
- 夜間は足元センサーライトを設置
夜中のトイレで何度も転びそうになっていた方も
人感センサーライトを設置しただけで安心感が格段にアップしました。
小さな工夫でも、安全性は大きく変わります。
② 筋力アップで「転びにくい体」をつくる
転倒を防ぐには、足腰の筋肉とバランス感覚の維持が欠かせません。
おすすめは椅子に座ったままできる簡単な運動。
- 太もも上げ(左右10回)
- かかと上げ(10回)
- つま先立ち(10回)
この3つを毎日5分だけでも続けると、体幹が安定して姿勢が良くなります。
介護予防体操としても人気の方法です。
③ 正しい歩行サポートを活用する
杖や歩行器を使うことで安定性が大きく向上します。
ただし、**「自分に合った高さ・重さ」**でないと逆にバランスを崩すことも。
福祉用具専門相談員や理学療法士に相談し、体格や歩行能力に合ったものを選びましょう。
実際に試してみて、「手首の高さにグリップがくる」くらいが理想です。
④ 靴選びは「安全への第一歩」
- かかとがしっかり固定される
- 底が滑りにくい素材
- サイズが足にぴったり
スリッパは脱げやすく、転倒リスクを高めます。
室内でも、かかと付きの介護シューズや滑り止め靴下の使用がおすすめです。
心のケアも忘れずに──「怖くて歩けない」を防ぐ
「また転んだらどうしよう…」という不安が強いと、
外出どころか、家の中を歩くことすら怖くなる方もいます。
しかし、動かないことこそ最大のリスクです。
筋力が落ち、バランスがさらに悪化し、転倒リスクが上がってしまいます。
そんなときは、家族や介護スタッフが
「大丈夫、一緒にゆっくり行こう」
「少しずつでいいよ」
と声をかけるだけで、心の負担はぐっと軽くなります。
安心できる雰囲気づくりも、転倒予防の大切な要素です。
まとめ──転倒予防は「日々の積み重ね」
転倒は、年齢のせいだけではありません。
環境・身体・心理のバランスが崩れたときに起こります。
でも、ちょっとした意識と工夫で防ぐことはできるのです。
- 住環境を整える
- 筋力を維持する
- 正しい歩行サポートを使う
- 心のケアを忘れない
この4つを意識するだけで、転倒リスクは確実に減らせます。
介護を受ける方も、支える家族も、一緒に「安全で安心な暮らし」を目指しましょう。
それが、いつまでも自分らしく生きるための第一歩です。


