徘徊がある人への対応方法、注意点
「気づいたら外に出てしまっていた」
「夜中に家の中を歩き回っている」
認知症の方にみられる、いわゆる「徘徊(ひとり歩き)」は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな不安につながります。
事故や行方不明のリスクがあるため、どう対応すればいいのか悩む方も少なくありません。
ただし、この行動は単なる「意味のない迷い歩き」ではなく、背景やきっかけがあることが多い とされています。
この記事では、原因や対応方法、注意点についてわかりやすく解説します。
「徘徊」とは? ただの迷い歩きではない
近年は、「徘徊」という言葉自体が、ご本人の目的や気持ちを十分に表していないとして、「ひとり歩き」などに言い換える動きもあります。
認知症のある方の外出行動の多くは、本人なりの理由や目的を伴っていることがあるためです。
認知症の方は、時間や場所が分からなくなる見当識障害の影響で、「家に帰らなければ」「仕事に行かなければ」と思って外に出ることがあります。
また、
・不安や焦りが強い
・トイレを探している
・誰かに会いに行こうとしている
・昔の生活習慣や仕事の習慣が出ている
といった背景が関係していることもあります。
徘徊が起きやすいタイミング
夕方から夜にかけて
認知症のある方の一部では、夕方から夜にかけて不安や混乱、落ち着かなさが強くなることがあります。
これは「夕暮れ症候群(サンダウニング)」と呼ばれます。
誰にでも起こるわけではありませんが、夕方以降の外出や落ち着きのなさの背景として知られています。
環境の変化があったとき
引っ越し、入院、模様替え、介護者の交代など、環境や生活リズムの変化は混乱を招きやすくなります。
「ここはどこだろう」「いつもと違う」という不安が、外へ出る行動につながることがあります。
体調不良のとき
痛み、便秘、睡眠不足、疲れ、空腹、脱水、薬の影響などが、落ち着きのなさや行動の変化につながることもあります。
「認知症だから」と決めつけず、体調面も確認することが大切です。
徘徊への基本的な対応方法
行動を頭ごなしに否定しない
「どこ行くの!」「出たらダメ!」と強く制止すると、不安や抵抗感が強まり、かえって興奮してしまうことがあります。
まずは落ち着いて声をかけ、「どうしましたか」「何か気になることがありますか」と、気持ちを受け止める姿勢が大切です。
さりげなく付き添う
無理に止めるのではなく、可能であれば一緒に歩きながら様子を見る方法もあります。
歩くことで気持ちが落ち着いたり、会話の中で目的が分かったりすることがあります。
本人の安心感につながる対応が大切です。
安心できる環境を整える
次のような工夫は、リスク軽減に役立ちます。
・玄関や門扉の安全対策を見直す
・名前や連絡先が分かるものを身につけてもらう
・GPS機器や見守り機器を活用する
・近隣の方や関係機関にあらかじめ相談しておく
また、鍵を使う場合は緊急時にすぐ対応できるようにしておくことも重要です。
生活リズムを整える
夕方以降の混乱を和らげるために、
・日中に適度に体を動かす
・日光を浴びる
・遅い時間の長い昼寝を避ける
・夕方は早めに室内を明るくする
といった工夫も有効です。
注意しておきたいポイント
「ずっと見守る」は一人では難しい
ご家族だけで24時間対応し続けるのは大きな負担です。
無理が続くと、介護疲れや心身の不調につながります。
まずは「家族だけで完璧に対応しよう」と抱え込みすぎないことが大切です。
叱る・制限しすぎると逆効果になることがある
強い口調で制止したり、行動を一方的に制限したりすると、不安や怒りが強まることがあります。
安全確保は大前提ですが、本人の気持ちにも目を向けながら、できる範囲で自由を尊重する視点が必要です。
行動の背景を観察する
「夕方に増える」「トイレの前で落ち着かなくなる」「来客後にそわそわする」など、行動にはパターンがあることがあります。
時間帯、場所、直前の出来事、体調などを記録しておくと、対策を立てやすくなります。
訪問介護・訪問看護の活用も選択肢
ひとり歩きへの対応は、ご家族だけで抱え込むには限界があります。
訪問介護や訪問看護を活用すると、見守りの工夫、生活リズムの整え方、住環境の調整、体調面の確認などについて専門職から具体的な助言を受けることができます。
また、「なぜこの行動が起きているのか」を第三者の視点で整理できると、ご家族の不安も軽減しやすくなります。
必要に応じて、主治医や地域包括支援センターなどと連携していくことも大切です。
まとめ
いわゆる「徘徊(ひとり歩き)」は、認知症による不安や混乱、見当識障害、生活習慣、体調変化など、さまざまな背景から起こります。
大切なのは、無理に止めることではなく、行動の背景を理解し、安心できる関わり方を考えることです。
ご家族だけで抱え込まず、訪問介護・訪問看護などのサービスも活用しながら、安全で安心できる環境づくりを進めていきましょう。


