夜間緊急コールで多い内容とは

「夜中に急に本人の体調が悪くなったら、私一人でどう対応すればいいの…?」

「訪問看護の『夜間緊急コール(24時間対応)』って、具体的にみんなはどんな相談をしているのかな?」

住み慣れた我が家での在宅療養生活では、日中の賑やかさが消える夜間や早朝の時間帯に、ご本人だけでなく支えるご家族も突発的な体調変化に対して激しい不安を抱えることが多々あります。

昼間であれば、かかりつけの病院や担当のケアマネジャー、ヘルパーなどの事業所へ気軽に連絡・相談しやすいですが、医療機関が閉まる夜間になると「この症状で救急車を今すぐ呼ぶべきなのか、それとも朝まで様子を見てもいいレベルなのか」の境界線が分からず、パニックになってしまうことも少なくありません。

多くの訪問看護ステーションでは、ご契約内容(24時間出動体制加算など)に応じて、夜間であっても看護師にダイレクトに繋がる相談体制をしっかりと設けています。

今回は、実際に在宅医療の現場において、夜間緊急コールで看護師へ相談されることが多いリアルな内容と、いざという時の向き合い方について分かりやすく解説します。

高齢者に最も頻発する「急な発熱や原因不明の体調不良」

夜間の緊急電話で最も圧倒的に多い相談内容のひとつが、急激な発熱やそれに伴う体調不良の訴えです。

例えば、

・夕方までは元気だったのに、夜になって急に38度以上の高熱が出た

・本人が激しい寒気(悪寒)を訴えてガタガタ震えている、または異常にだるそうにしている

・夕食から急に食欲がなくなり、水分すら全く受け付けなくなってしまった

など、「今すぐ夜間救急外来へ連れて行くべきか」「座薬などの頓服薬を飲ませて朝まで様子を見ていいのか」と、ご家族が判断に迷う具体的な場面で多く利用されます。

看護師は、ご本人の持病のデータや普段のバイタル(平熱など)を踏まえ、今すぐ家庭でできるクーリングなどの具体的な応急処置を的確に指示したり、必要に応じてオンコール担当の医師と連絡を取り合って適切な受診の段取りを整えます。

一刻を争うサインを見極める「呼吸が苦しそうなとき・息切れの悪化」

息苦しさの訴えや、呼吸のパターンの急激な変化も、夜間にご家族が強い恐怖を感じて緊急コールを鳴らす代表的な内容です。

具体的には、

・呼吸の回数がいつもより明らかに速く、肩を上下させて息をしている(努力呼吸)

・ヒューヒュー、ゼーゼーといった嫌な喘鳴(音)が聞こえ、横になるのを嫌がって座りたがる

・痰(たん)が喉に絡まって自力で出すことができず、窒息しそうで苦しそうに咳き込んでいる

などの緊迫した症状が見られると、介護している側も生きた心地がしません。

看護師は、電話越しに呼吸の音や排痰の状況、顔色(チアノーゼの有無)などを的確にヒアリングし、在宅酸素の流量の調整を指示したり、必要であれば吸引器を持参して緊急訪問へ駆けつけたり、あるいは躊躇なく救急要請を促すなど、命を守るための最善のアクションを明確に案内します。

ベッドからの転落などによる「不意の転倒や怪我(出血・打撲)」

夜間に一人でトイレへ行こうとしたり、暗い室内で足元をすくわれたりして、転倒・転落してしまうアクシデントも夜間によく発生します。

例えば、

・夜中に大きな音がして見に行ったら、ベッドの横の床に倒れていた

・手すりを使って立ち上がるときにバランスを崩し、尻もちをついて動けなくなってしまった

・どこかを強くぶつけたようで、皮膚がめくれて出血している、または「頭を打ったかもしれない」と本人が言っている

といった、突然の怪我に関する切実な相談が寄せられることも日常茶飯事です。

看護師は、見た目に大きな外傷や大量の出血がなくても、手足の変形の有無や激しい痛み、瞳孔の様子や意識のハッキリ度合い(意識障害の有無)を電話で冷静に確認し、動かさずに安静にすべきか、あるいは整形外科や脳神経外科への緊急受診が必要かをプロの視点で見極めます。

在宅医療の命綱「医療機器や各種カテーテル・点滴のトラブル」

在宅で24時間の点滴治療を行っていたり、人工呼吸器などの医療機器、各種チューブを使用している場合は、その機械的・肉体的なトラブルについてのSOSも多く寄せられます。

例えば、

・点滴の針が抜けてしまい、刺入部から血液や薬液が漏れて腕がパンパンに腫れている

・尿の管(バルーンカテーテル)がいつの間にか抜けてしまった、または管が詰まって尿が全くバッグに落ちてこない

・在宅酸素や人工呼吸器の機械から、聞いたことのない大きな警告アラーム音が鳴り響いて止まらない

など、医療知識のないご家族だけではパニックになってしまうような内容も多々あります。

こうした場合も、24時間体制の看護師であれば、電話口で機器の操作方法やトラブルシューティングを落ち着いて案内したり、カテーテルの再挿入や点滴のルート確保のために夜間であっても速やかにご自宅へ訪問し、その場で医療処置を完結させることができます。

救急車を呼ぶべきか本当に判断がつかない…という「究極の迷い」の相談

夜間の緊急コールは、明確な病気の症状だけでなく、「救急車を呼ぶほどのレベルなのか自分では全く分からない」という、ご家族の精神的なSOSを受け止める場所でもあります。

例えば、

・バイタルの数値は正常範囲内だけれど、なんとなくいつもと全体の雰囲気が違って嫌な予感がする

・ぐっすり眠っているように見えるけれど、声をかけても反応が薄く、起こして確認すべきか迷う

・部屋の明かりの下で見ると、なんとなく顔色や唇の色が青白い気がして不安で眠れない

など、一人で夜を明かすのがあまりにも不安なときに、医療のプロの意見を求めて相談されるケースも非常に多くあります。

状況によっては、一見地味な症状の裏に脳梗塞などの重大な初期症状が隠れていることもあるため、ご家族が「この程度で電話したら迷惑かも…」と遠慮せずに、迷ったときは一刻も早く専門家である看護師へ繋ぐことが、最悪の事態を防ぐための絶対的なポイントとなります。

夜間緊急コールを安心・上手に利用するための事前確認のコツ

夜間緊急コールは、住み慣れた自宅でご本人とご家族が孤独にならず、24時間いつでも安心して療養を続けるための最大のセーフティネット(命綱)です。

一方で、いざという時にパニックにならずにこのシステムをフル活用するためには、普段の平穏な日頃からの事前確認が極めて重要になります。

具体的には、

・ケアプランの中で、自分たちの契約が「24時間連絡・訪問対応」の体制になっているか

・夜間に電話をした際、コールセンターを挟むのか、担当の看護師の携帯に直接繋がるのか

・どのような症状や変化が起きたら、迷わずファーストタッチとしてこの緊急ダイヤルに連絡すべきなのか

といった契約内容や具体的な利用ルールについて、日頃の定期訪問の際に主治医や訪問看護師とあらかじめ目合わせをしておくと、夜中に万が一の事態が起きても、驚くほど冷静にベストな行動が取れるようになります。

まとめ

訪問看護の夜間緊急コールには、突発的な発熱や呼吸状態の異変、室内での不意の転倒、医療機器やカテーテルの深刻なトラブル、そして「救急車を呼ぶべきか迷う」といったご家族のリアルな不安の叫びまで、本当に多種多様な相談が日々寄せられています。

深い夜の時間帯は、一人で抱え込むと不安が何倍にも膨れ上がって判断を誤りやすいため、いつでも医療のプロに直接繋がってアドバイスを貰える、あるいは必要に応じて駆けつけて貰える体制があることは、在宅療養生活を送る上でこれ以上ない絶対的な安心の土台となります。

もちろん、すべての病気やトラブルを家の中だけで解決できるわけではなく、状況によっては病院への緊急搬送が必要になるケースもありますが、プロが間に入ることでその判断すらも最短・最適に行うことができます。

「夜間の体調急変や、一人での介護介護対応がとにかく怖くて不安…」と感じているご家族は、大切なご本人と自分自身の心身の平穏を守るためにも、まずは24時間対応可能な訪問看護の心強いサポート体制について、ケアマネジャーや往診の主治医に一度具体的に相談し、遠慮なくSOSを発信できる安心の医療環境をしっかりと整えておきましょう。

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