認知症の方がテレビの内容が理解できなくなったサイン
「最近、お父さんがテレビをずっとつけているのに、なんだか内容を理解できていない気がする……」
「前はニュースやドラマが大好きだったのに、急に興味を示さなくなった」
そんな離れて暮らす親御さんや、同居するご家族の変化に気づき、不安を募らせている方は少なくありません。
高齢期になると自宅で過ごす時間が増え、テレビを見る時間が長くなる方も多いですが、認知症の進行や認知機能の低下によって、番組の話の流れを追いかけることが難しくなるケースがあります。
もちろん「テレビを見なくなった=即、認知症」ではありません。
しかし、以前とは違うちょっとした違和感が続く場合、それは本人が発している大切なサインの可能性があります。
今回は、テレビの内容が理解しづらくなっているサインと、家族として知っておきたい関わり方について分かりやすく解説します。
「テレビが難しくなってきた」と感じる4つの代表的なサイン
1. 番組の話の流れやストーリーについていけなくなる
ドラマやニュースを一緒に見ていても、
・「今、この人は何のために怒っているの?」と何度も聞いてくる
・主役や脇役などの登場人物の人間関係がごちゃ混ぜになる
・事件の背景やストーリーの展開を理解できていない
テレビ番組は場面転換のテンポが非常に速いため、認知機能が低下してくると、一瞬前に起きた出来事と今の場面を頭の中で繋ぎ合わせて理解することが難しくなってしまいます。
2. テレビ自体への興味が薄れ、電源をすぐに消す
これまで欠かさず見ていたお気に入りの番組やスポーツ中継を見なくなったり、テレビをつけてもすぐに消してしまうことが増えます。
これは、内容が理解しづらくなったことで「見ていてもチンプンカンプンで、少しも面白くない」と感じ、自然と遠ざかってしまっている可能性があります。
3. テレビの中の出来事と「現実」の区別がつかなくなる
認知症がさらに進行すると、テレビの中の映像を「今、自分の部屋の目の前で起きている現実」と混同してしまう見当識(けんとうしき)障害のような症状が現れることがあります。
・ニュースの災害現場や事件の映像を見て「大変だ!早く避難しないと!」と激しくパニックになる
・ドラマに出演している俳優を、実在する近所の知り合いだと思い込んで話しかける
こうした行動が見られた場合は、ご本人の頭の中が非常に混乱している証拠ですので、注意深く様子を見守る必要があります。
4. 同じ質問を何度も繰り返す
「この人は誰かね?」「今、何が起きたの?」と、1回説明して「分かった」と頷いた直後に、まったく同じ質問を何度も繰り返します。
本人にとっては悪気があるわけではなく、直前の記憶(短期記憶)が保持できなくなっているため、画面が変わるたびに「今、初めてこの場面を見た」という新鮮な感覚で質問を繰り返しているのです。
「何度も聞いてくる」ときの優しい関わり方と、まわりの対応
何度も同じことを聞かれると、ついイライラして「さっきも言ったでしょ!」と強い口調で否定してしまいそうになりますよね。
しかし、本人には「初めて聞いている」という意識しかないため、強く責められると自信を失い、恐怖や大きな不安を感じて心を閉ざしてしまいます。
同じ質問をされたときは、できるだけ穏やかなトーンで「これは〇〇のニュースだよ」「この人は主役の〇〇さんだよ」と、その都度初めて答えるような気持ちで、優しく教えてあげるのが安心への近道です。
一人で悩まずに、訪問看護などの「プロの目」を頼ってください
テレビの様子に違和感を覚えるのと同時に、
・普段の何気ない会話のキャッチボールがかみ合わなくなった
・約束や、さっき食べた食事のメニューを思い出せないことが増えた
・料理や掃除などの家事がこれまで通りにできなくなってきた
など、生活全体にも変化が見られる場合は、早めに医療機関や地域包括支援センターに相談することを検討しましょう。
訪問看護サービスでは、ご自宅に定期的に看護師がお伺いし、こうした「日常生活の些細な変化」をプロの目で見守るサポートを行っています。
「最近、ちょっとテレビを見ながら混乱することが多くて……」と看護師にお気軽にお話しいただくことで、主治医やケアマネジャーと迅速に連携し、これからの生活に何が必要かを一緒に考えていくことができます。
まとめ
認知症によってテレビの内容が理解できなくなってくると、番組を楽しめなくなったり、現実と混同して不安を感じたりすることが増えてきます。
大切なのは、その変化を「年のせいだから」と放置せず、かといってご家族だけで抱え込んで悩まないことです。
テレビを見る様子は、認知機能の変化に早く気づくための大切なバロメーター。
「いつもと違うな」と感じたら、まずは地域の窓口や、訪問看護などの専門スタッフへ相談しながら、ご本人が住み慣れたお家で穏やかに安心して過ごせる温かい見守りの体制を、みんなで一緒に作っていきましょうね!


