ATMで何度も困るようになったらお金の管理はどうする?
「親がATMの操作方法が分からなくなったみたい……」
「何度も暗証番号を間違えて、カードにロックがかかってしまった」
離れて暮らす親御さんや同居するご家族にこのような変化が現れると、「これからお金の管理はどうすればいいんだろう」と大きな不安を感じますよね。
たまの言い間違いや操作ミスなら心配いりませんが、何度も同じようなトラブルが続く場合は、認知機能の低下や判断力の変化が影響している可能性があります。
今回は、ATMで困ることが増えたときに考えたいお金の管理方法と、ご本人の尊厳を守るサポート手順について解説します。
なぜATMの操作で困るようになってしまうのか?
ATMの操作は、「画面の文字を読み取り、順番を理解し、暗証番号を思い出しながら指先を動かす」という非常に高度な脳の働き(遂行機能)を必要とします。
そのため、認知機能が低下してくると、
・画面の案内を見ても、次にボタンのどこを押せばいいか分からなくなる
・長年使っていたはずの暗証番号が思い出せなくなる
・途中で「自分は今なんの手続きをしに来たのか」目的を忘れてしまう
といった混乱が起こりやすくなるのです。
一人で無理させると「防げるはずのトラブル」に巻き込まれるリスクも
「長年自分でやってきたから大丈夫」と一人で利用させ続けてしまうと、以下のような危険性が高まります。
・振り込み先や金額を押し間違えて、誤送金してしまう
・通帳やキャッシュカード、引き出した現金そのものを落としたり無くしたりする
・手元に大金を置き忘れてしまい、還付金詐欺や悪質商法の被害に遭う
ご本人の「自分でやりたい」という自立の気持ちを尊重しつつも、安全を守るためのサポートへ少しずつ切り替えていくことが大切です。
家族が試したい「お金の管理」をシンプルにする3つのステップ
いきなり「今日からお金の管理は全部取り上げるね!」としてしまうと、ご本人は自尊心を傷つけられ、激しい怒りや不信感を抱いてしまいます。
ご本人ができることを残しながら、グラデーションでサポートを増やしていきましょう。
1. 最初は「ATMへの付き添い」からスタートする
まずはATMへ一緒に行き、ご本人がボタンを押す横で「次はここを押すよ」と優しく見守るサポートから始めましょう。
ご本人が「自分でできた」という感覚を残すことが大切です。
2. 定期的に「決まった生活費」だけを手渡す
管理が難しくなってきたら、口座からの引き落とし(公共料金など)は手続きをして自動化し、手元で使うお小遣いや食費だけを「1週間ごとに定額で手渡す」スタイルに切り替えるのも手です。
3. クローゼットや通帳の保管場所を整理する
通帳や印鑑を何度も紛失して探してしまう場合は、ご本人が混乱しないよう保管場所を1箇所にまとめたり、家族と一緒に管理する仕組みを作っていきましょう。
お金の管理で迷ったら、一人で抱え込まず専門家に相談を!
お金の問題は非常にデリケートだからこそ、「どこまで家族が介入していいのか分からない」と悩むご家族は少なくありません。
もしATMでの混乱以外にも、
・同じ買い物を何度もしてしまい、家の中に同じ食材があふれている
・公共料金や家賃の支払いを忘れるようになった
・「財布や通帳を誰かに盗まれた!」と疑うことが増えた
といったサインが見られる場合は、決してご家族だけで抱え込まないでください。
地域包括支援センターやケアマネジャー、訪問看護・介護などの専門職に相談することで、ご本人の尊厳を守りながら安全にお金を管理する制度(日常金銭管理事業や成年後見制度など)や、具体的なサポート方法について適切なアドバイスをもらうことができます。
まとめ
ATMで何度も困るようになった背景には、単なる物忘れだけでなく、頭の中の整理が難しくなっているというサインが隠れています。
大切なのは、すべてを奪ってしまうことでも放置することでもなく、「ご本人の安全を守りながら、できることを温かくサポートする環境」を作ることです。
ご家族だけで抱え込んで疲弊してしまう前に、ケアマネジャーや地域の専門機関などの力を上手に頼りながら、ご本人にとって一番安心できる方法を一緒に探していきましょうね!


