認知症の方に「財布を盗まれた」と言われたらどんな対応するのが正解?
「財布がない!あなたが盗んだんでしょう!?」
ある日突然、認知症のご家族からこんな言葉をぶつけられたら、驚きとショックで戸惑ってしまいますよね。
実際には本人がしまい忘れているだけなのですが、ご本人の中では「財布が消えた=誰かに盗まれた」というストーリーが本気で完成してしまっています。
ここで「盗んでないよ!」「自分が変なところに置いたんでしょう!」と正論で否定しても、納得してもらえることはほとんどありません。
今回は、認知症の代表的な症状「物取られ妄想」が起きる背景と、ご家族の心が折れないための対応テクニックを解説します!
なぜ「盗まれた!」と思い込んでしまうの?
認知症になると、新しい出来事を記憶する「短期記憶」が真っ先に低下していきます。
自分で大事な場所に財布をしまっても、「しまったという行動自体」をまるごと忘れてしまうのです。
すると本人の中では、
1.いつもの場所に財布がない
2.自分で動かした記憶は一切ない
3.誰かが持っていったに違いない!
という思考のつながりが生まれ、本当に盗まれたと確信してしまいます。
ご本人は嘘をついて陥れようとしているのではなく、本気でパニックになり困惑しているのです。
対応ステップ1:否定せず「不安な気持ち」を受け止める
真っ先に「誰も盗んでないよ」と事実を正したくなりますが、まずは否定せずに気持ちを受け止めてあげましょう。
「財布がないと困るよね、不安だね」
「大切なものだから心配だよね、一緒に探してみようか」
「盗まれた」という言葉に同意する必要はありません。
「財布が見当たらなくて困っている」という不安な感情に寄り添ってあげることが、興奮を鎮める第一歩になります。
対応ステップ2:見つけたら「大げさに喜んで」手渡す
ご本人と一緒に、よく置く場所やバッグの中、引き出しを探してみましょう。
もしご家族が先に財布を見つけた場合も、「ほら、こんなところにあったよ!」と責めるように渡すのはNGです。
「あ、ここにあって良かったね!」「見つかって安心したね!」と、見つかった喜びを一緒に分かち合うように手渡すと、ご本人もプライドを傷つけられずにホッと安心できます。
対応ステップ3:疑われたら一度「距離を置く」
介護をしているご家族自身が「犯人扱い」されるケースも非常に多いです。
身に覚えがないのに何度も疑われれば、腹が立ったり悲しくなったりするのは当たり前です!無理に付き合う必要はありません。
疑われて収まらないときは、
・「探してくるね」と言って一度別の部屋へ移動する
・他のご家族に交代してもらう
など、物理的な距離を置いてお互いの感情を冷却させましょう。
頻繁に続くなら「専門職」の力をどんどん頼ろう!
「盗まれた」という訴えが毎日続いたり、ご家族への疑いが強くなって生活が立ち行かなくなったら、ご家庭だけで抱え込む限界のサインです。
主治医やケアマネジャー、ご利用中の訪問看護師や訪問介護スタッフに遠慮なく相談してください!
訪問介護のヘルパーが一緒に探すことであっさり解決したり、訪問看護師からご家族の精神的なサポートや適切な対応のアドバイスを受けることができます。
また、環境調整として「デイサービスなどの外部サービスを増やして、ご家族が離れられる時間を作る」といった具体的な解決策も一緒に考えてもらえますよ。
まとめ
認知症のご家族から「財布を盗まれた」と言われたときは、否定して説得するのではなく、「なくて不安なんだね」と気持ちに寄り添いながら一緒に探す姿勢が大切です。
しかし、何度も犯人扱いされるのはご家族にとって本当に大きなストレスになります。
「家族なんだから耐えなきゃ」と思い詰めず、訪問看護や訪問介護などのプロの力を借りて、ご自身の心と体を守ることを一番優先してくださいね。
専門家と一緒にチームで支え合いながら、お互いが穏やかに過ごせる環境を整えていきましょう!


